デザイナーなら覚えておきたい画像補正のこと。

画像加工の真髄は「選択範囲」にあり!

「特定部分の色を変えたい」「被写体を切り抜きたい」「AとBを合成して1枚の画像にしたい」など、Photoshopで出来ることは無限といえます。しかしながら、どんな画像を制作するにしても避けては通れない工程があります。それが「選択範囲」です!いかに目的にあった「選択範囲」を作れるか否かで、最終的なクオリティも左右されるほど重要な工程です。今回は、Photoshopで出来る基本的な選択範囲の作成方法を紹介します。

ブラシツールで選択範囲を作成する

クイックマスクモードでブラシツールを使い選択範囲を作成します。クイックマスクモードに関しては、「Photoshopのクイックマスクモードを使いこなそう!」をご参照ください。選択範囲の作成は、基本的にクイックマスクモードと通常モードを行ったり来たりしながらになりますので、クイックマスクモードを理解していることが重要になります。

ブラシ先端の「硬さ」を調節することで目的に応じた選択範囲を作成できます。切り抜きのようにキッチリと選択したい場合はブラシ先端を固く、選択部分がパッツンと目立たないようにしたい場合は硬さを調節する(ぼかす)など、細かい部分にこだわった選択範囲を作成できます。

選択ツール

まさに任意部分を選択するツールです。「オブジェクト選択ツール」「クイック選択ツール」「自動選択ツール」と3種類ありますが、同じ選択ツールでも選択方法が違いますので、画像の状態や被写体、目的に応じて使い分けることができます。

オブジェクト選択ツール

選択したい対象を囲むとPhotoshopが自動で判断して選択範囲を作成します。

クイック選択ツール

選択したい箇所によってブラシ先端のサイズを変えてクリック、またはその部分をなぞると選択範囲を作成できます。選択部分を追加したい場合はshiftを押しながら、逆はoptionを押しながら選択します。

自動選択ツール

クリックした部分と同色部分が選択されます。こちらも選択部分を追加したい場合はshiftを押しながら、逆はoptionを押しながら選択します。「許容値」の値を増やすとクリックした部分の色よりも多くの色を選択でき、「隣接」にチェックを入れるとクリックした部分に隣接した範囲を選択し、チェックを外すと隣接しない同色部分も選択します。

 

被写体を選択

Photoshop 2018(バージョン19.1)から追加された機能で、1アクションで被写体を自動で選択してくれるという、Photoshopの初期から携わってきた人間からすると夢の様な機能ですね。「選択範囲」メニューから「被写体を選択」を選ぶだけで、選択範囲が作成されます。

ただ、どんな画像でもという訳にはいきません。背景と被写体の色や濃度に差が無いような画像や、背景に余計なものがある場合は思い通りの結果が得られない場合もあります。今回のテスト画像のように背景が白で被写体の色が濃く単純な形であれば、ほぼ良い結果は得られますが完璧ではありません。うまく選択されていない部分をチェックし、その都度ブラシで修正するという作業は必要になります。

「選択範囲」メニューの「洗濯とマスク」、オプションバーの「選択とマスク」からも「被写体を選択」できます。

 

 

被写体を選択 クラウドサービス

2022年8月にPhotoshopは23.5にアップデートされ、「被写体を選択 クラウドサービス」が実装されました。これまでデバイス上で処理していた「被写体を選択」を、クラウド上で処理することでより精細な結果が得られるということです。デバイス処理とクラウド処理の切り替えは「設定」→「画像処理」から行います。

オプションバーの「被写体を選択」の右三角メニューからも切り替えできます。

同じ画像でデバイス処理とクラウド処理の結果を比較してみました。双方とも単純に「被写体を選択」しただけで他の処理はしていません。

正直、劇的に変わるということはありませんが、確かにクラウド処理の方が精細に選択されているように見えます。クラウド処理の方が処理時間が長いということでしたが、体感としてそれほどの差は感じませんでした。通常はデバイス処理で作業して、良い結果が得られない場合にクラウド処理に切り替えて試してみる、という使い方が良いかもしれません。